ちぎりきな  かたみに袖を  しぼりつつ 

  末の松山  波こさじとは

                     清原元輔  


<現代語訳>

 私とあなたで、約束をしましたね。
 お互い、袖の涙を絞りながら。

 あの末の松山を波が越すことはないように、
 私たちの仲も、決して変わらないであろうことを。

<解説>

 第四十二番。
「・・・それなのに」と、続くわけです。

 心変わりをした女性へ贈った歌のようです。

 末の松山は宮城県多賀城市の海岸近くの名所で
 どんな高波も、これを越すことがない、と言われていたため、
 不可能なこと、の比喩に使われています。

 ちなみに、詠み人、清原元輔は清少納言の父で
 前に出てきた清原深養父の孫にあたります。

 絞れるほどの涙で濡れてしまった袖、
 もう一度くらいは出てくることでしょう。




 人の心は変わりやすいものです。
 ましてや、秋の空、との例えもある、女心は・・・。

 しかし、変わらないこと、変えられないこともあるはずです。
 私はそう思っています。

 恋人の心変わりを嘆くのは
 その男の魅力が足りないから、なのかもしれませんね。

 男性諸君、しっかりしましょう(笑)    





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