瀬をはやみ  岩にせかるる  滝川の 

  われても末に  あはむとぞ思ふ

                     崇徳院  


<現代語訳>

 瀬の流れが早いために、岩にせき止められる急流が
 二つに分かれても再び合流するように

 あなたとの仲は、今は隔てられてはいるけれども
 いつかきっと、一緒になりましょう

<解説>

 第七十七番。
 崇徳院(崇徳上皇)は第七十五代の天皇でしたが
 保元の乱に破れて讃岐へと流され、白峰で没しました。

 白峰山の上で怨霊と化して西行の前に現れ、京を、貴族達を呪う話はあまりにも有名です。

 結局、岩にせかるる滝川のようには、二人は一緒になることはできなかったのでしょう、きっと。

 11月11日、追記:

 上記の西行と祟徳院のお話「白峰」の出典についてですが
 これを作った時点では思い出せずに書けませんでした。
 ようやく先日、判明したので、補足しておきます。
「雨月物語」上田秋成の怪談からのものです。
 H君、ご協力、感謝♪




 死ぬことが恐ろしいと、思わないと言えば嘘になる。
 自分はいつ死んでもいいと、言い触らしているやつに限って
 誰よりも生への執着が強いこともある。

 かく言う猫目も「生きていたいとは思わない、さりとて望んで死にたいわけでもない」
 などとニヒルを気取って語っていた時期があった。
 今思うと情けなくて恥ずかしい。

 そんなに簡単には、死ねない。
 死んでたまるか。
 やり残したことが多すぎるから。
 後悔なんてしたくないから。
 だから、まだ死ねない。





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