大江山  いく野の道の  遠ければ 

  まだふみもみず  天の橋立

                     小式部内侍  


<現代語訳>

 母のいる丹後の国。
 そこに至るまでは、大江山、生野を通らねばならず、非常に遠いものです。

 まだ天の橋立さえも踏んでおりませんし
 母からの手紙も見てはおりません。

 だから私の詠んだ歌を、母の代作、とは考えないで下さい。  

<解説>

 第六十番。
 小式部内侍は 和泉式部 (第五十六番) の娘。
 立派な母親を持った娘の苦労、とでも言いましょうか。

 でも、自分の歌に対する自信、というものも見て取れるようです。
 微妙ですね。

 この歌の背景としては
 小式部内侍が母親のいる丹後へ帰る道中
 都にて歌会があるという知らせを受けて
 ある歌を詠んだ際に付け加えたもの、と解釈していますが、如何に?
(それとも、この歌が『ある歌』になるのかな)

 ちなみに、小式部内侍は和泉式部より先に、若くして命を落としています。




 百人一首。
 最近、読み返して気づいたこと。

 歌の世界は簡潔にして美しく、雅であると言えるでしょう。

 さりとて、かるた取り日本一決定戦、ともなると・・・
 ・・・戦争、ですね、アレは(笑)
 風情とは程遠い気がするのは私だけではないだろうな。





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