忘れじの  ゆくすゑまでは  かたければ  

   今日をかぎりの  いのちともがな

                     儀同三司母  


<現代語訳>

「いつまでも忘れないよ」というあなたの言葉。
 その約束が遠い将来も変わらないことは期待できませんから、
 そのお言葉を掛けていただけた今日を最後として
 この幸福な気持ちのまま、死んでしまいたいと思います。
 



<解説>

 第五十四番。

 男は永遠を誓います。
 女は永遠などないのだと言います。

 永遠などないのだから、
 現在の幸福だけを見ていたいという気持ちは
 理解できなくはありません。

 でも、私は男だから、約束をします。
 いつまでも離さない、と。
 絶対に幸福にする、と。

 今が幸福なのであれば、
 それを出来る限り持続させたいと願うことでしょう。

 あなたはすぐに「絶対」などと言う
 私はいつもそれを嫌がるの。
 だって冷めてしまっちゃえば、
 それすら嘘になるじゃない。
(『ギブス』 椎名林檎)





 告 白

 好きな人がいます。

 私には、誰よりも大切な人がいます。

 何にも替えがたいと思い、
 何があっても、何を犠牲にしてでも、
 護りたい人がいます。

 その人の笑顔を曇らせたくないと思います。

 好きな人がいます。



前の歌    次の歌      百人一首(51〜) 目次