もろともに  あはれと思へ  山桜  

   花よりほかに  しる人もなし

                     前大僧正行尊  


<現代語訳>

 山桜よ。
 私がおまえを懐かしく思うように、
 おまえも一緒に、私を懐かしく思っておくれ。

 こんな山奥では、おまえ以外に、
 私の心を察してくれる人もいないのだから。



<解説>

 第六十六番。

 久しぶりに桜の歌です♪

 山奥で修行をしていた行尊が
 人恋しさに詠んだ歌、とされています。

 桜に「おまえ以外にはわかってくれるヤツはいないよ」なんて、
 ちょっと間違えるとただの危ない人か酔っぱらいです。
 ま、それは置いておくとして・・・。

 山桜の花の色は、里の桜よりもなお鮮やかに艶があり、
 どことなく妖しさまでも感じられてしまうのは、
 私だけでしょうか?





 静岡県立大学薬学部 放射薬品学教室教授、奥直人。
 世界中の研究者を敵にして、日夜、最新の研究成果を探索し続ける男。
 私の最も尊敬する人物でもあります。

 彼の凄いところは、
 わからないことは「わからない」と
 言い切ってしまえるところです。

 これは、なかなかに出来ることではありません。

 彼くらいの立場ともなれば、
 学生にみっともないところは見せられない、と思っても
 何の不思議もありません。
(実際に、彼の口癖は「学生にナメられるのだけは我慢できない」ですし)

 が、そこを、敢えて、知らないことを、
「知らない」と言い切ってしまえる勇気は尊敬に価します。
(知らないことを「恥」だとは思っていないところも、です)
 言い換えると、如何につまらない教授が多いか、
 ということになってしまうと思います。

 私も、常に、彼のようにありたい、と思ってはいるのですが、はて・・・。


 ちと、褒め過ぎかな・・・今日のコラムは歌に全然関係がないね(笑)





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