心あてに 折らばや折らむ 初霜の
おきまどはせる 白菊の花
凡河内躬恒
<現代語訳>
あて推量に折ってみたら、手折ることができるだろうか。
一面の初霜の白さに見分けのつかない、
人目を惑わせている白菊の花を。
<解説>
第二十九番。
霜と白菊。
真っ白な庭先が目に浮かびます。
時期は秋のことでしょうか。
「菊と霜くらいの見分けはつくだろ?」
そう言ってしまう人に、用はありませんね。
目に映る白が幻想的ですらあったのでしょうか。
自然の美しさです。
「手折る」という言葉は、何かを連想させます。
この歌の意味、少し勘違いをしていました。
「適当に摘んでしまおうか、この花」なんて、
それはちょっといけませんねぇ、などと訳していた始末(笑)
人を惑わせる花は、果たして摘めるのでしょうか
でも、それだと初霜の意味が、ちと不明ですね。
「手折る」
何やら艶のある言葉だと思いませんか?
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