天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ
をとめの姿 しばしとどめむ
僧正遍昭
<現代語訳>
天空の風よ。
雲の中の帰り道を、吹き閉ざして下さい。
天女のように美しい舞姫の姿を、
もう少しだけ、この地上にとどめておきたいから。
<解説>
第十二番。
詠み人、僧正遍昭。
35歳で出家したそうですが、まだまだ(笑)
遍昭は 乙女に何の 用がある という句もむべなるかな。
それはともかく、舞姫の姿を「天女」として詠んだこの歌、
詠まれた女性にとって、さぞかし光栄なことだったでしょうね。
先日、喫煙休憩中に、空を見上げると
もうすっかり高くなってしまった秋の空。
雲が強すぎる風に流されていました。
その色が、いかにも秋の空で
しばらくぼ〜っとしていたことが、まだ記憶に新しいです。
立ち止まって、空を見る。
ときどきは、そうした心のゆとりが欲しいものです。
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