めぐりあひて みしやそれとも わかぬまに
雲がくれにし 夜半の月かな
紫式部
<現代語訳>
久しぶりにめぐりあった人が、
懐かしいあなただったとはっきりわからないうちに、
あなたは慌ただしく帰っていってしまいましたね。
まるで夜半の月がたちまち雲に隠れてしまうみたいに。
<解説>
第五十七番。
勘違いをしていましたが、
この歌は懐かしい幼なじみに宛てた歌、だそうです。
月が沈まぬうちに、月と競い合うようにして帰ってしまった。
懐かしさは深く、反面、余りに突然のことゆえ
すぐには思い出せないが、顔はよく知っている人。
あとに残された彼女の心残りが偲ばれます。
懐かしい人はいますか?
幼友達に、最近会いましたか?
私に幼なじみはいません。
それに、会いたいとも思えません。
たとえ、会えたとしても、多分会話に困ってしまうでしょうから。
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