高砂の  をのへの桜  咲きにけり 

  外山のかすみ  たたずもあらなむ

                     前中納言匡房  


<現代語訳>

 遠くの山の峰に、桜が咲きましたね。
 近くの山の春霞よ、どうか立ちこめないで下さい、
 その花の美しさが見えなくなってしまうから。

<解説>

 第七十三番。
 すみません、この歌知りませんでした。
 こんな歌、あったのか・・・。

 花は桜で、それに霞が揃えば言うことなし、というのが
 平安貴族の考え方。

 でも、この前中納言匡房 氏は敢えて桜に霞の取り合わせを嫌っています。
 好きですね、こんなひねくれた人。
 天邪鬼。




 春は平和な季節。
 何も考えず、桜でも見ているのがお似合いです。

 陽気も良く、日差しは暖かく、そして気怠げな午後。
 昼食後の授業中、机と椅子は上質のベッドに変わってしまいます。
 おかしいですね、あんなに堅くて寝にくいはずなのに。





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