君がため  惜しからざりし  いのちさへ 

  長くもがなと  思ひけるかな

                     藤原義孝  


<現代語訳>

 あなたに逢うためにはどうなっても構わない。
 そう思って、惜しくもなかったこの私の命。

 でも、こうして逢うことのかなった今では
 もっと長くあってほしいと思うようになりました。

<解説>

 第五十番。
 現金な歌です。
 でも、正直な歌です。

 逢いたくて逢いたくて
 一目、逢うために、どんなことでもできてしまう。

 でも、逢った後はさらにもう一度逢いたくなる。

 そんなものです。




 夢を見た。
 楽しい夢だった。
 だからこそ、後味の悪い夢だった。

 でも、いつまでも見続けていたい夢だった。
 醒めてほしくない夢だった。

 夢なんてそんなものだろうね。





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