人もをし  人もうらめし  あぢきなく 

  世を思ふゆゑに  物思ふ身は

                     後鳥羽院  


<現代語訳>

 思い通りにはならないこの世はつまらない。
 そう思い悩んでいる私だからこそ、ある人をいとおしいと思い、また、ある人を恨めしくも思うのだ。

<解説>

 第九十九番。
 訳に非常に苦労しました。
 倒置法なんか使うな、という感じです。

 思い通りにならないからこそ、世の中は面白いと思うのは
 若気の至りなのでしょうか。
 たとえそうであったとしても、つまらないとは思いたくないものです。




 他人に評価を下す私も、他人から評価を下されているわけです。
 お互いの評価が近ければ、何の問題もないわけですが
 時には全く逆のこともあるから世の中は混沌に満ちています。

 でも、なるべくなら、嫌われるよりは好かれた方がいいに決まってます。
 たとえ、好かれることの方が、難しいことだとしても。  





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