玉のをよ  たえなばたえね  ながらへば 

  忍ぶることの  弱りもぞする

                     式子内親王  


<現代語訳>

 この私の命。
 絶えるなら絶えてしまえばいい。
 このまま生きながらえたとしても、この恋を心に秘めて耐えゆく気力も弱り
 いずれはきっと人目につくようになってしまうでしょうから。

<解説>

 第八十九番。
 詠み人、式子内親王は後白河上皇の皇女。
 生涯病気がちだったといいます。

 心に秘めてじっと堪え忍ぶ恋。
 誰にも知られてはならない彼女の思いは、誰に向けられたものなのでしょう。




 この思いを打ち明けてしまうことができれば、きっと今より楽になれるだろう。
 しかし、そうすることによって、今の関係は確実に崩れてしまう。
 それならば、今のまま、曖昧な形のままでも続けている方がいい

 恋愛につきもののジレンマ。
 中学の頃、最初に経験したような気がします。





前の歌    次の歌     百人一首 目次