ひさかたの  光のどけき  春の日に 

  しづ心なく  花のちるらむ

                     紀 友則  


<現代語訳>

 日の光がのどかにさす春の日。
 それなのにどうして落ちついた心もなく、桜の花は散り急ぐのだろうか。

<解説>

 第三十三番。
 なんて平和な歌(笑)。
 有名な歌ですね。
 これ、聞いたことある、という人も多いかと思います。
 春はこんな気分で、ぼ〜っとしているに限ります。

 ちなみに作者の 紀 友則 は 紀 貫之 のいとこだそうです。





「満開の桜は、人を狂わせる。」
 誰が言った台詞だろうか。
 何処で聞いた言葉だろうか。

 桜。
 派手すぎて嫌いだ、という向きもおられるかもしれませんが
 その方も桜の魅力には気づいていらっしゃるはずです。
 たぶん、本当に嫌ってる人っていないんじゃないかな。
 日本の花。

 日本人なら、春と言えばこれに限るでしょう。
 純粋に花を楽しんでいる訳でもないのでしょうけど・・・。
 桜の下で飲む酒は、か。

 でも、桜の魅力はそれだけではありません。
 深夜、薄明かりの下で見る淡く染まった満開の桜。
 華やかで、艶やかで、そして妖しい美しさ。

 薔薇なんか、目じゃないです、個人的には。
 葉桜もまた、魅力的です。  





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