風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ
くだけて物を 思ふころかな
源 重之
<現代語訳>
風が激しいので、岩を打つ波が自然に砕け散ります。
私も、ひとりで心を砕いて物思いをする今日この頃です。
あなたからの返事がないために・・・。
<解説>
第四十八番。
「ひょっとしたら、こちらの真意がきちんと伝わっていないんじゃないだろうか?」
「ひょっとしたら、何か返事できない理由があるんじゃないだろうか?」
相手の言葉を待って、恨んで、期待して、煩悶する。
返事がなくてかなしいのは、いつの時代も一緒です。
和紙にしたためた和歌でも、キーボードで打ったE-メールでも・・・
文章、書くの好きです。
だから手紙も好きです。
返事を貰うと嬉しくなります。
遠方の友人に手紙を書くとき、便箋10枚以上、とか、ざらです。
80円じゃ足りないことすらあります。
だから、E-メールっていうのは非常に私向けの伝達手段だと思います。
でも、どんなに文明が進んでいても、結局、優れた伝達方法が
電話、ではなくて、『手紙』である、というのは、面白いですね。
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