What is LIPOSOME ?
「りぽそーむ」と読みます。
俳句の方にも何度か顔を出しているので「なんだこりゃ?」と思った方もいることと思います。
リポソームとは、薬物送達システム( drug delivery system ; DDS )のキャリアーとして期待されている、生体膜由来のリン脂質からなる閉鎖小胞で、毒性や抗原性が低く、水溶性薬物をその内水層に取り込み、脂溶性薬物を脂質二重膜に組み込むことが出来ます。
structure of LIPOSOME
詳しく説明すると非常に面倒な上に全く面白くもなんともないので、手短に説明しますと・・・
我々の体を構成する個々の細胞は生体膜で仕切られている。この生体膜はリン脂質、コレステロール、タンパク質、糖脂質などから形成され、細胞が外界から環境を守る障壁として、また外界との物資や情報のやり取りの場として重要である。生体膜の障壁としての働きは、主にリン脂質によって構成される脂質二重層が担っている。
この生体膜の主要成分であるリン脂質を水溶液中に懸濁すると、リン脂質の極性基が水分子により水和し、非極性基(リン脂質の脂肪酸部位)が内側に集中した生体膜と同じような脂質二重膜の構造体が形成される。
ここで構造膜が安定に存在するためには、膜の端が出来ないような構造となる必要がある。このため、水溶液中に懸濁されたリン脂質は、ちょうど風船のような端のない閉鎖小胞を形成することになる。これがリポソームである。よって、リポソームは生体膜と同じ二重膜構造の脂質膜に隔離された内水層を有することになる。
リポソームは、生体膜のモデルとして多くの研究に用いられてきたが、一方で、薬物送達システム( drug delivery system ; DDS )へ応用されてきた。また、遺伝子やアンチセンスのキャリアーとして遺伝工学の分野でも用いられている。ところで薬剤のカプセル化は、薬剤の生体内分布を変化させ、標的器官への到達性を改善し、薬物の副作用の軽減や徐放化を可能とする。リポソームを用いる利点としては毒性や抗原性が低いことのほか、用いるリン脂質が生体成分であるために生体内で代謝されることがあげられる。またリポソームは大きさや脂質組成を容易に調節でき、水溶性薬物、脂溶性薬物、高分子など多くのものが封入可能であり、糖質、抗体、レクチンなどによる表面修飾も容易である。さらにリポソームが基本的には生体膜モデルであるということに起因して、生体膜の持つ多くの機能をリポソームに付与することも可能と考えられる。具体的にはリポソーム膜の透過性を制御することにより薬物を徐放化したり、組織特異的な薬物放出を起こさせることも可能である。また、膜融合性や、特定の細胞への接着制御などの機能をリポソームに付与することにより、目的にあった薬剤カプセルを構築できる。
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